瀬戸のお次は民藝の地、島根県へ。
島根へ行くのは何年ぶりでしょうか。もういつだったか思い出せないくらいです。
母の実家があるので子供の頃、よく夏休みに行っていました。
か細い記憶を辿っていくと・・・・行きの新幹線で飲む柔らかいプラスティックの入れ物に入ったお茶や、田舎の大きな家、拾った捨て犬、その犬を再び捨てにいったボーリング場(大泣)、ぶどう箱の蝶のマーク、おじいちゃんの補聴器、浜山公園のタコの滑り台、独特の土地の匂い・・・・どれもあまりにも昔のことで白くモヤがかかっているようです。
てなわけで、私にとって島根は身近なようでいて全くの初対面のような不思議な土地なのです。
で、今回の旅でその大いなる魅力に気づかされてしまいました。
こんなに良いところだったんですね!とにかくすばらしい民藝品の数々!島根がもっと近かったらなぁ。と何度も思いました。
今回訪れた場所の一つ、温泉津にある「森山窯」
小高い丘の上にある森山窯は河井寛次郎氏の最後のお弟子さんである森山雅夫さんが夫婦二人だけで作っている小さな窯元。
訪れる前に「ぜひ、そちらの器を取り扱いたい」と電話で話はしていましたが「休む暇もないくらいで、ちょっと難しいねぇ」と言われていたくらい忙しいらしい・・・。
実際に行ってみると、お母さんは型押し、お父さんはロクロ、という感じで二人だけの工房はフル稼働。それでも遠くからきた私たちを気づかって色々な話を聞かせてくれました。
新たに作るのは難しいということだったのでとにかく今ある物の中から買わせてもらうことに。
結構大量。
工房は土間を改装して作ったのだそう。お父さんは御年72歳!いくつになってもやるべきことがあるってことは健康の秘訣なのかもしれません。
窓辺に置かれた道具までもきれい。
森山窯の代表的な手法、筒描き。河合寛次郎氏直伝です。
その名の通り筒に入れた釉薬や泥漿(でいしょう・・・水と粘度を適度に混ぜたもの)で素地に模様を描く技法のこと。ケーキデコレーションの デコペンのような感じでしょうか?(怒られる?)
16歳で河合寛次郎の内弟子となったお父さん。当時河合寛次郎氏は66歳。とても温厚だったと言います。
「物としての美しさだけではなく、使ってみて使い良い器」「例えば湯のみ。飲んだ後、唇が離れる時にスッと離れるような器になるように作っています」とお母さんお手製のメロンシャーベットをご馳走になりながら聞かせてくれました。
こんな素敵な森山窯ですが、何とも残念なことに後を継ぐ方がいないそうです。こうやって日本のすばらしい手技は失われていくのね・・・・。と少々メランコリックな気分で森山窯を後にしました。
つづく。
森山窯
島根県大田市温泉津町温泉津イ-3-2
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